信とは言ったことを守ること。言ったことを行うことを意味する。言ったことを行う経験をひとつずつ積み重ねれば他人から見て、あの人は言ったことを守る人であるという経験が蓄積され、評価が定まる。言ったことを守ることは自分にとっての経験の蓄積となる。自分は言ったことを守ることができる。言ったことを守り、積み重ねてきたと実感することで、自分で自分を評価することができる。自分が他者から認められることを自分で知ることができる。それは自分を信じること。自信となる。これら過去の経験の蓄積は自分で積み上げて行くものである。ひとつ積み上げれば、ひとつ分の自信となる。この自信の発見が人間の成長には欠かせない。

社会的信用というものがある。地位や名誉と呼ばれるもの。組織に対する信用力というものがある。それを得ようとして得られないことを恐れることがある。しかし社会的信用とは永年にわたってその地位にあるものがその責任を果たしてきたことが社会から評価されていることである。それはそこに座るものに自動的に継承されるかに見えるがそうではない。そこに座るものはその能力を備えていることを当然に要求されるという事実が存在する。

自信とは他から与えられるものではない。自分の時間を使ってひとつずつ積み重ねるものでしかない。その自信がその地位に相応しいものとなるとき、その職責を果たすことができる。地位は人を育てる。その地位はその人に相応しい行動を絶えず要求する。その要求に応えることを通じて地位はまたその人をその地位の高みに育てる。それはつまり行動の強制であり、実践こそが自信を生み出すものである。