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町家・町屋

町家とは、その地域で人々が生活するために住み続けられて、一定の歴史を重ねた住宅。建築された時代によっては合板や合成樹脂などではなく天然木や天然石などが使われ、大工の手仕事の価値が込められている。また格子戸の外観、狭い間口と深い奥行きで坪庭が設けられるなど人口密度の高い都市で快適な住空間を実現する工夫がみられるものもある。

そもそも人の一生という観点では、一世代、ないしは二世代が住み、暮らした後は、手放さざるを得ないものであり、所有者を変えて更地となり、次代の人が新築に建て直すのが実情といえる。ゆえに構造上もその程度の耐用年数の建物として建築されているのではないだろうか。人には一戸建て住宅への所有欲があるが、歳を重ねて人生が有限であることの自覚が高まってくると、少なくとも自分が死ぬまで安心して住み続けることさえできれば良いということに気が付いてくる。

ゆえに本物の材料で作られた高品質住宅を社会的に維持しながら、入居者を変えて住み継いでいくという町家版公営住宅の仕組みがあっても良いのではないだろうか。それが歴史都市の外観の風格を維持することにつながるのであれば、新たな価値創造となるのではないだろうか。むしろ本来は、人がそこで生活を維持し、長く住み続けられる工夫が凝らされた結果として形成される町並みが美しいものとして認識されるのだと思われる。それは町並みが美しいのではなく、人の営みが美しいという本質をもっており、論語の世界観にも通じている。

現時点では町家の所有者にとっては、賃貸住宅とした場合に、入居者が居ることによる将来に亘る利用制限や、管理の手間などの不安から、空き家のままにする場合もあると思われる。そこに自治体の住宅供給の仕組みを利用して、低利子の公的融資で貸主負担による一定の耐震改修を求めた上で借り受けて公営住宅として運用を行ってはどうだろうか。改修費の返済は物件の借り上げ家賃の範囲で行うものとすれば貸主の負担をなくすことができる。公的な力で後押しすれば地域に住み続けたい人に町家を貸し出す仕組みが実現できるのではないだろうか。貸主が貸出中の物件を返して欲しい場合には一定の猶予期間を経て退去を求めることができることとして、入居者に対しては、自治体が他の登録物件を優先的にあっせんして、移転費用を補助するなどの応援も行えば良いのではないか。そうした制度を設ければ貸主側から見た利用制限不安をなくすことができるように思われる。また借り上げた町家の改修について地域事業者に発注すれば経済活性化にも寄与すると考えられる。

町家は古い建物だけに限られず、新築でも良いと思われる。自治体所有の土地に公営町家を建築して、その地域に住み続ける人に対して可能な低家賃で貸し出す。低家賃であることは、若年世帯が入居する場合にも、高齢世帯が入居する場合にも、年金支給と同様の効果を生むこととなる。しかもその支出低減によって維持される可処分所得は地域で消費されるため一定の経済効果も生む。このように考えると社会保障とは年金の現金支給だけでなく、住まい保障の側面が強化されるべきことが分かる。

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