1. 先着順

先着順

先着順とは、来た順番に受け付けを行う方法をいう。150人限定などといわれると受け付けてもらえるかどうか不明で全く落ち着かない。例えば夕方の5時入場分の当日受け付けを同時刻から開始しますと言われると、2時間前ぐらいから入口に並ぼうと考えます。

ところが実際に現地に行くと当日の受け付けは4時30分からご案内しますといわれて「4時30分に、改めてお越し下さい」という。いま並ぶべき場所が示されないという状況。そうなると実際、気が気でない感じだ。主催者側からすると、先着順とは予約の管理が不要で、当日に都合の良い人を拾うことができる方法といえるだろう。お客さんの側からすると予約だと日がもっと先でしか受け付けてもらえないものが、突如、今日に受け付けられるという大きな利点がある。ゆえに権利確保のために何時間も前から、並ぼうという強迫観念が生まれて、その日の朝から、落ち着かない。まる一日を費やす精神状態に陥ってしまう。つまり、先着順はお客さんの側からみると博打の要素があり、その日の落ち着きを奪いとられるものである。

主催者は、なぜ先着順枠を当日予約で受け付けないのだろうか。夕方の5時から入場なのだからお年寄りなどに配慮した訳ではないだろう。恐らく日中のドタキャン分を夕方に開放するのが目的ではないか。夕方までドタキャン実数が明確でないから。たとえば日中に5,000人の予約があるとして、ドタキャン率を3%程度にみて、150人が来ないと仮定する。催し物は朝9時から夕方6時までとして、終了1時間前の夕方5時からドタキャン分を埋めていくとする。日中の時間帯に予約している人が時間に遅れて来場した場合には優先的に救済する仕組みがあるとすれば、夕方からの先着順の人数はぎりぎりまで確定しない。そもそも予約という仕組みを信頼しないがゆえの保険として、先着順受け付け枠を設けているとすると、その「保険枠」には不確定な「予約」方式を設けたくないという理屈は理解できる。また予約の受付数が少ない場合は、予約そのものに人が殺到して、先着順に予約を受け付けることが、不平等を生んでしまう。予約を受け付ける場合には抽選にするなどの配慮がないと、収まらない場合もあるだろう。しかし、終了1時間前から予約を受け付けたり、それを抽選にするのは難しい。だから当日限定の補欠受け付けについては、予約なしの先着順とすることには妥当性がある。このように考えてみると、予約には、管理のコストが発生するし、平等ともいえないことがわかる。

つまり先着順とは、主催者が予約制に付き物の管理の手間や、ドタキャンを回避してすべての受け付けを達成するためのしくみで、お客さんには不確定要素を強いるものでありながらも、早期受け付けの特典を提供しうる制度というべきだろう。