1. たたき台

たたき台

たたき台とは、原案のことをいう。ゼロ次案となる。これを何度も読み直しながら推敲を加える。

原案が用意できると多くの修正点が浮かび上がる。いま倒れたとしても一応の案があるという安心感が強みとなる。気持ちに余裕があれば修正点が見えやすくなる。心の余裕は改善の強みを生む。

鍛冶屋さんが赤く熱した鉄を叩くために台座として使う金床(かなどこ)をたたき台と呼ぶ説が知られている。広辞苑によれば用例として「─ にのせる」とある。すると原案自体は「たたき台」ではないのかもしれない。赤く熱した鉄の原案を議論するために金床に載せたというところだろうか。

そしてこれを「─ にする」とある。「たたき台にする」という時には原案自体は無であり用意したのは議論を受けとめるための金床の方なのだろう。案の方は無いようなものである。謙譲の美徳とはこのことをいうに違いない。