1. 学而第一(002)N

学而第一(002)論語ノート

有子曰。其為人也孝弟。而好犯上者。鮮矣。不好犯上。而好作乱者。未之有也。君子務本。本立而道生。孝弟也者。其為仁之本与。

有子曰く。其の人となりや孝悌にして、上を犯すを好むものはすくないかな。上を犯すを好まずして、乱をなすを好むものは未だこれあらざるなり。君子は本を務む。本立ちて道生ず。孝悌なるものはそれ仁の本たるか。

孝悌とは父母に孝行をつくし、兄につかえて従順であること。上のものが下のものに偉そうな態度を取るとすれば下の者としても、素直に従うことはできない。素直な反作用として、嫌な態度で接してしまうだろう。ところが下のものが上のものに不孫な態度を取ると、うまくいかない。必ず仕打ちを受ける。

ならば孝悌に徹することが、礼だと考えてはどうだろうか。礼とは、生きて行くうえで、ああだろうか。こうだろうか。と可能性をその都度検討して気疲れすることを避けるために、あらかじめ取るべき行動を決めておくことで生きやすくする方法というものだろう。孝悌に徹しておけば、理不尽な仕打ちを避けることができるのではないだろうか。

仁というものが、世の中をうまく治めるために今後の展開を予想して、あるべき行動を取る能力を指すとすれば、まず孝悌にしておくことが仁の根本といえるのではないだろうか。