1. 子路第十三(314)N

子路第十三(314)論語ノート

子曰。如有王者。必世而後仁。

「子曰く。如(も)し王者あらんも、必ず世にして後に仁たらん。」と訓ずる章ですが、私は別の訓じ方を考えて見ました。

「子曰く。王者が有るに如(おなじ)くすれば、必ず世にして仁の後にす。」「文王、武王の如き王者が有ると同じように治めれば、必ず治世は長く続くだろう。そしてそれは、仁によって治めるということだ。」という意味です。論語において王とは、文王、武王のように仁政を行う者を指すと思われますし、そういう王者が治めれば、為政第二(017)「政を為すに徳を以(もち)いる。譬えば北辰の其所に居りて衆星の之に共うが如きなり。」と同じく、30年もの期間を要さずとも天下は治まると孔子は考えると思います。そのため、「後に仁たらん」ではなく「仁の後にす。」と訓じたいと考えました。必ず長く続く治世とは、仁政に他ならず、仁政を行う者は、文王、武王の如き者というように読み取ったものです。

「如」は「しく」とも読みます。その場合に「・・・と同じくらい」とか「肩をならべる」というような意味があるため、今回「おなじく」という読み方を考えてみました。