1. 衛霊公第十五(411)N

衛霊公第十五(411)論語ノート

子曰。知及之。仁不能守之。雖得之。必失之。知及之。仁能守之。不荘以涖之。則民不敬。知及之。仁能守之。荘以涖之。動之不以礼。未善也。

子曰く。知これに及び、仁もて、これを守る能わざれば、これを得と雖も、必ずこれを失う。知これに及び、仁もて能くこれを守るも、不荘をもってこれにのぞめば、民敬せず。知これに及び、仁もて能くこれを守り、荘をもってこれにのぞむも、これを動かすに礼をもってせざれば、未だ善からざるなり。

孔子が言うには、資格を得ても、人のために能くこれを用いて維持するのでなければ、これを得たとしても必ず知識の総和を失う。資格を得て、人のために能くこれを用いて知識を維持しても、威厳をもたずにのぞめば、人の尊敬を集まらない。資格を得て、人のために能くこれを用いて知識を維持して、威厳をもってのぞんでも、その能力を活かす上で礼をもって行わなければ、未だ合格者とはいえない。

本章は極めて実際的で、重い真実を述べている。例えば何らかの国家資格を得ても、人のために能く知識を活かさなければ、1年もたたずに、その知識の総和は脳内から消え去ってしまう。せっかく人のために働いたとしても、自信をもって臨まなければ、なかなか顧客の信頼は得られない。せっかく自信をもって臨めるようになっても、礼節を軽んじるようになれば、未だ合格者とはいえない。つまりせっかく得た知識は、活用するためにこそあると鼓舞する章になっている。そうしなければ必ずこれを失うと教えている。