1. 里仁第四(078)N

里仁第四(078)論語ノート

子曰。放於利而行。多怨。

子曰く。利を放(ほうらか)して行えば、怨みを多くす。

孔子が言うには、利を放り出して行えば、怨みを多くするものだ。

昔、スーパーマーケットに輸入品のコーラが売られていた。その缶に「caffeine free」と英語で記載されていた。カフェインフリーとは、カフェインが好きなだけ入っているような印象を受けたことを憶えている。フリーという単語が、自由で束縛がないという意味に思えたからだ。しかし実際は「カフェインが含まれていない。」という意味になる。「放於利」を「利を欲しいままにする」と捉えて「利益を追求する」と考えるのは、カフェインフリーの話に通じているように思う。商売で利益を欲しいままにすることなどできないだろう。しかしながら利益を度外視することはできる。そして家族や従業員を養うことができなければ事業主は怨みを買うことになる。衛霊公(380)では、孔子が後先を考えずに職を失い、陳で食糧が尽きて、従者が病気になる事態となり、子路が慍(いか)って、孔子に「君子もまた窮するのですか。」と述べたことが記されている。本章もそういう意味を伝えているのではないだろうか。