1. 泰伯第八(197)N

泰伯第八(197)論語ノート

子曰。篤信好学。守死善道。危邦不入。乱邦不居。天下有道則見。無道則隠。邦有道。貧且賤。焉恥也。邦無道。富且貴。恥焉。

「邦に道ありて、貧にして且つ賤しきは、どうして恥だろうか。邦に道なくして、富み且つ貴きは恥だ。」と読むと考える。何故、正しい政治が行われる国において、政治に参加することができずに貧しく賤しい(賤しいとはお金が少ないこと。)ことが恥だろうか。登用されないことだってあるに違いない。しかし非道な国で登用されて、富んで貴い(貴いとはお金持ちのこと。)ことは、不正に手を貸すことだから恥だ。

論語の新研究では、「邦無道。富且貴焉。恥焉。」となっており、「富且貴」の後に「焉」字が補われているが、これを省いて考えたい。

本章は憲問第十四(333)「憲問恥。子曰。邦有道穀。邦無道穀。恥也。」に通じている。憲問第十四(333)においても「邦に道あれば穀す。邦に道なくして穀すは、恥なり。」として、国に道がある時に穀さないことを恥とは述べていない。