1. 憲問第十四(368)N

憲問第十四(368)論語ノート

或曰。以徳報怨。何如。子曰。何以報徳。以直報怨。以徳報徳。

ある人曰く。(君子は)徳を以て怨みに報いたらば如何。子曰く。何を以て徳に報いん。(君子は)直きを以て怨みに報い、(君子は)徳を以て徳に報いん。

ある人が言った。君子は怨みを抱く相手にも徳をもって接すればどうですか。子曰く。そんなやつに良心で接してどうするのか。そんなことでは良心を以て接してくれる人にどう報いれば良いのか。仕打ちに対しては率直な反作用をもって報いれば良い。良心をもって接してくれる人にこそ良心でお返しをするべきだ。

この章は、誰に対しても良心で接すれば良いのですかと問うた或る人に対して、本当に大事にしてくれる人には心から接するべきで、攻撃的な人物には、素直に心に浮かぶ反作用で応対すれば良いという精神の健全性を保つ核心を述べていると思われます。人間関係はきれいごとではない。本当に良いものを良いとすることで社会が良い方向へ向かうと考えるべきことを教えてくれています。我慢をして耐えることだけが人間関係ではないということでしょう。