1. みずから、おのずから

みずから、おのずから

みずからと、おのずからは同じ字を書きます。同じ意味でしょうか。みずからは、自分自身で行うという意味です。おのずからとは、自然に、当然のなりゆきとして、計算過程に従って、結果的にあるべき答えが定まるという意味です。そうすると、自分自身で行えば、ひとりでに、当然の成り行きとして、結果的に答えが定まるということになります。これは人の人生。生き方を表しているように思えてきます。孟子という書物の中に、大勇と呼ばれる章があります。「自ら反(かえり)みて縮(なお)くんば、千万人といえども、吾往かん。」という有名な件があります。とても励まされる言葉だと思います。しかし同時に、自ら反みるとは、実践して結果から学ぶという姿勢だと思います。当然に社会の調和の中で、あるべき最適解が最初から導き出されるわけではないとしても、自分で考えて、結果から学んで軌道修正をして行けば、それなりの最適解に行きあたるに違いありません。みずからと、おのずからが同じ言葉なのは、そのあたりの意味を含んでいるのでしょう。