1. 為政第二(024)N

為政第二(024)論語ノート

子夏問孝。子曰。色難。有事。弟子服其労。有酒食。先生饌。曾是以為孝乎。

子夏、孝を問う。子曰く、色難し。事あれば弟子その労に服し、酒食あれば先生に饌す。曾わちこれを以て孝と為すか。

子夏が孝とは何かを問うた。孔子がいう。「難しい質問だ。」事あれば、弟子がその労に服し、酒と食事があれば先輩に供する。これのみを以って孝だろうか。

この章は学而第一(007)の「賢賢易色」と似ています。子夏はこの為政第二(024)の場面で孔子から「賢賢易色」を学んだのかもしれません。これを聞いた弟子が「賢賢易色」のことを「色難」と記したのかもしれません。また単に孔子が「難しい質問だ。」と答えたことを全知全能への遠慮から別の解釈を加えたものかもしれません。

「賢賢易色」は宮崎先生によれば「トカゲ」のことです。子夏は学而第一(007)で「賢賢たるかな易の色や、とあり。」と述べて古語を引用しトカゲの色が周囲に応じて変わるように父母に対して力を出し尽くし君に対してその身の限り仕え、朋友に対して言葉に偽りなくけじめをつけることが学問の実践であると述べています。

本章は他の人の役に立とうとすることや先輩を優先しようとする考え方に共通する思いが孝(親を大切にする行い)にも通じると説明したものだと思います。最後の「曾是以為孝乎。」は反語に読むと思うため、労に服し、酒食を饌すというだけでは意味が足りないと諭されている場面だと思います。