1. 子路第十三(325)N

子路第十三(325)論語ノート

子曰。君子和而不同。小人同而不和。

子曰く。君子は和して同ぜず。小人は同じて和せず。

孔子が言うには、君子なら違いを超えて補いあって調和することを善しとして、比較しあって同じような者同士で集まるようなことはあるまい。小人は同じような者同士で集まって、立場の違いを超えた連携を行わない。

本章だけでは分かるようで分からない。為政第二(030)「子曰。君子周而不比。小人比而不周。君子は周して比せず。小人は比して周せず。」とあわせて読むと良いと思う。二つの章は、ほぼ同じ意味を表すと考えられている。和は調和。円いこと。周は周囲の周で円いこと。満たされていること。そして同とは同じこと。比とは比べること。同じようなものが並んでいること。二つの章を合わせて考えると、「和と周」は、異なるものが調和して補いあって満たされること。「同と比」は、比べ合って同じようなものが一つになること。これらを総合して考えると、例えば右から左まで立場の違いを超えて補いあって調和することを善しとする。そして比べ合って同じような背比べのものが一つにまとまっていることを善しとしない。

立場が同じもの同士で集まって、違ったものを排除することは組織を守ろうとする自然な感情とも言える。違いを認め合って補い合うことは本当に難しい。しかしながら長期的に見れば、同質ものだけが集まっても組織の強さは保てないと思いたい。比較しあった結果、同じ水準のものだけで固まろうとすれば、硬直した組織になるに違いない。常に「和を貴し」を心に刻みたい。そういう意味を表す本章を大切に読みたいと思う。