1. 陽貨第十七(436)N

陽貨第十七(436)論語ノート

子曰。性相近也。習相遠也。

子曰く。性(せい)、相(あい)近し。習い、相、遠し。

孔子が言うには、すみきった心はお互いに生まれつきのものだ。反復学習の成果はお互いに遠い道のりだ。

この章は、「生まれた時は同じようでも、勉強した者とそうでないものとは格差が出るものだ。」というように解釈されている。しかし論語には学而第一(007)「賢賢たるかな蜥蜴の色やとあり。」という章があり、「父母につかえて力をつくし、君につかえてその身を致し、朋友と交わり、言いて信あらば、未だ学問を修めていなくても、これを学問を修めたものというべきだ。」という考え方がある。孔子は、「習えば格差が広がる」ことを伝えているのではなく、学びの道は「お互い遠い道のりだ。」と言っているのではないだろうか。つまり学而第一(001)で述べられている学習の遠い道のりの相互理解を表していると思われる。この章からは、格差の広がりを読み取るのではなく、「自身が投下していない方向に他者が時間を投下して、別の同量の獲得物の総和を有している」ことを読み取る方が良いと思う。