1. パンくずリスト

パンくずリスト

パンくずリストの図

はじめに

パンくずリストとはウェブページの上隅に当該ページ名と、その上階層のリンクリストを順番に配置することで、ユーザーが訪問中のサイト内で、自身の現在地を理解する助けとなるものであり、上階層へのアクセスの利便を提供するものとされる。さらにSEO対策にも有利に働くと理解されている。インターネットでは、グリム童話でヘンゼルが道に迷わないように落としていったパンくずに由来するという記事が検索される。

パンくずを用意するのは運営者

しかしヘンゼルは、森で道に迷わないために自ら道しるべとしてパンくずを落とす予防策を採ったのであり、それをユーザーの行動に当てはめれば、ブックマークを設定する行動が「パンくず」を落とすことになぞらえられるべきものである。もともと森の随所に分かりやすい標識が立てられていたなら、パンくずを落とす必要はなかったに違いない。

運営者のニーズ

運営者は、ユーザーにサイト構成を分かりやすく示す努力をすることで、次の訪問先となるページを指し示すことを望んでいる。上階層へのリンクを示すだけではその思いを実現することにはならない。

誰のためのパンくずなのか

上階層へのリンクリストを表示することが、ユーザーにサイト構成を分かりやすく示すものとなるのなら、それは運営者が設置する「標識」であって、ユーザーが落とす「パンくず」ではない。ゆえに運営者は目的が標識であることを意識して次の行き先を示せば良いことになる。「パンくず」であることに縛られて利便を犠牲にする必要はない。

その標識は何のために

上階層へのリンクリストがあれば、ユーザーはそのリンクを辿ることができる。サイト運営者はユーザーに対して上階層と下階層を結ぶ線を提供することになる。さらにページの横の繋がりを標識として示すことができれば、縦の線と横の線が結び合わされて網目状に繋がることになる。それはインターネットが実現している網目と同じ意味を持つ。

標識から網の結び目へ

インターネットが全世界規模に張り巡らされる網目状のリンクであるならば、その網目状を自らのウェブサイト内にも貫徹することが、パンくずリストの成果物ではないだろうか。自らのサイトがインターネットの網目の縮図として構築されることになる。だとすれば、あるページへの訪問の仕方は一通りではなく、何通りも存在することが望まれる。

インターネットは脳内の模写

そもそもインターネットとは、知識と知識を結び合わせる脳内活動をテキストベースで模写するものであるように思われる。脳の神経回路が結びあって、知識の連関を形作っているように。また自然や社会そのものが複雑に繋がり合って存在しており、その複雑な因果関係を理解する活動が脳内活動といえるのかもしれない。つまり物事の存在形態をテキストベースで模写する試みがインターネットであり、それを自サイトで実現する試みの端緒が上階層リンクリストとしての「パンくずリスト」だと言えないだろうか。

脳内活動にはひらめきがある

物事は相互に繋がって存在しており、それがテキストベースに模写されるとすれば、物事も社会も絶えず変化して運動しているかぎりは、インターネットの構成も絶えず変化していくことになる。自然にも社会にも変化というものがある。類似物が隣り合う時に、その共通点が認識されて新たな繋がりが生まれたり意識されたりする。人間の脳にはひらめきというものがある。それに似た働きとして、アマゾンなどが提供する「おすすめ商品」のリンクの提示などがある。人が思いつかないこと。新たに発見すべきことをデータベースを使って提案するリンクが、既に実用化されている。こうした新しいリンクが、パンくずリストの先に既に試行されている。

未来へのリスト

私たちはインターネットを通じて脳内をテキストベースに模写している。社会をテキストベースに模写している。物事の存在形態をテキストベースに模写している。ゆえに自由に網目状のリンク構造を再現しながら、ひらめきを生み出す未来へのリンクを提供することができればと願う。そこで本サイトではページ間リンク構造を見直すことにした。上階層へのリンクは上向き矢印で示す。本サイト運営開始当初からそうであったように可能ならば横向きの関連リンクを示すことにして、サイドバーとフッターにもその他のリンクを表示する。逆向きの戻るリンクと、ブックマークはブラウザの機能に頼りたい。