1. 現物給付年金

現物給付年金

若者、子育て世代の方々は賃貸住宅に住んでおられる場合が多いと思います。理由は様々ですが、不動産を購入できる収入条件をお持ちの方ばかりではなく選択肢が絞られる場合も多いと思います。長期に安定した収入を見込むことは簡単ではありません。住宅購入の頭金の貯蓄をしている途中の方もあるでしょう。そして住宅を購入する理由も様々です。ただ、その効果として高齢になって年金収入のみになった際に家賃を負担しなくても済むように備える意味があるように思います。

ところでこれまで持ち家の購入は建築関連業の仕事おこしに繋がることから、国策として後押しされて来たと思います。(住宅ローン控除、贈与税軽減、固定資産税軽減など) 他方で賃貸住宅とは、その資金力や信用力のある方が賃貸物件を用意して貸し出す事業で賃貸物件の利用者から家賃収入を得るものです。これにより「賃借人」から「賃貸人」へ所得が移転しています。

「賃借人」に若年層が多く、「賃貸人」に高齢層が多い傾向があれば、それは現役世代から高齢世代への「民間年金」の役割を果たしているとも捉えることができるかもしれません。このとき「賃借人」は「若年層や子育て世帯」だけではないのです。賃貸住宅に住まいつつ高年齢化する人々はどうすればよいのでしょうか。こうした人々は家賃を負担しながら「民間年金」の支え手として長年貢献しています。しかし昨今の住宅ローン控除の縮小・廃止の議論をみても「こどものいる世帯や夫婦のどちらかが39歳以下の世帯については上限の引き下げを見送り」とされています。住宅購入の困難さはどの年代にも伴うものであるにも関わらず、40歳で区切る意味はわかりません。

そもそも賃貸住宅に住んでいる人を支援する施策があるべきだと思います。例えば契約時や更新時に保証会社に保証料を支払う場合がありますが、自治体が保証人になってくれる制度や保証料を補助する制度があると助かります。また支払っている家賃を所得控除できる税制があれば助かります。さらに公的年金制度の受給権を得た際にはその一部について現金給付に代えて国による賃貸住宅の提供という現物給付で受け取ることができる制度があれば助かると思うのです。

住宅購入というハードルがより高いものとなっている時代です。政府が政策的に住むことへの負担や不安を軽減してくれるなら、助かる人は多いと思います。公的年金制度を大きく補う社会保障施策になると確信します。