1. 聞く

聞く

「言うことを聞く」という言葉があります。言ったこと、聞いたことに従うという意味です。これは言った側からみると、伝達した内容が聞き入れられるということであり、発言が効果を表している、「効いている」ということになります。

この「効いている」については、例えば「くすりが効く」というように、効果があるという意味です。お説教が効いているのも効果があるという意味です。

一方、利き酒という言葉は、当事者側として目、鼻、舌でお酒の出来を確かめるという趣旨になります。つまり自分で判断するという意味です。例えば、暗闇で物音を聞くというのも、敵の接近を自分で判断するという行動です。これ以外にも何気なく聞くとか、聞こえてくるというのも、緊張や警戒を解き放ちつつ全方位的な情報を自分で判断している状態を表します。

このように聞き手からみると、対象から発せられる情報を理解して受けとめることが聞くことであり、発信者側からみると受けとめられたことは、効果があった。「効いている」ということになります。つまり聞くとは発信者と受信者の双方において、意思疎通の実現を表すたいへん興味深い言葉なのです。