引き継ぎ
ある目的をもって行われている行為の主体者が別の者に置き換わる時、その目的をもって行われている行為の意味を正しく伝えることで、別の者を新たな主体者とすることを引き継ぎという。
渡す側が責任をもって伝えるか、渡される側の努力に頼る(受け継ぎ)か、もしくはその行為の管理者が責任を受け持つかは個々の事例による。
例えば、織物を織る過程で糸巻きから糸が繰り出されて行き、糸巻きの糸が無くなるか、または切れたとすれば、織り成される織物の糸の端と、糸巻きの糸の端を引き合わせて繋ぎ、続けて織物を織ることができるようにする必要がある。
織り成される織物の側に、結ぶ責任があるか、糸を供給する糸巻きの側に、結ぶ責任があるか、はたまた新しい糸巻きに、その責任があるか。果たしてどうなのか。
結局は、その織物を織る者が糸を結び合わせることになる。糸巻きや、糸や、織物は意志を持たないが、人は組織の構成員として主体者となることができる。