1. OEM元とOEM先

OEM元とOEM先

OEMとは、original equipment manufacturerの頭文字で「オリジナルの・製品の・製造者」という直訳です。それは誰から見た「オリジナル」なのでしょうか?発注する側から見て「発注者が開発したオリジナル製品を表すのでしょうか?それとも「製造者のオリジナル製品」でしょうか?つまり発注者が他社のオリジナル製品にブランドロゴをつけて販売しているという事実を表しているのでしょうか。恐らく後者が本来の解釈のはずです。

ところで、OEMを日本語で訳すと(意訳)「相手先商標製品製造者」となります。何故、「オリジナル」が「相手先商標製品」と訳されるのか。オリジナルというのは、自分の根源という意味のはずです。「相手先の製品」のことを「オリジナル製品」とは言わないと考えて、はたと気が付きます。そうです。相手先商標というのは、自分で開発して相手先に持ち込んで相手先商標で販売してもらう製品のことです。つまり、製造者にとってのオリジナル。製造者から見て根源ということです。つまり製造者が「オリジナル製品製造者」なのでしょう。

製造者がオリジナルという観点は、発注者から見ても理解できます。それは「オリジナル製品製造者から仕入れて、自社ブランドとして販売する。」という意味だからです。

そもそも「オリジナル」が誰にとってのオリジナルなのかという疑問は、消費者から見たものです。何故なら本来、ブランド名が付けられた製品は商標権者の責任において流通するものだからです。その観点が曖昧にされると消費者に戸惑いが生じます。

OEMにおいて「オリジナル性」が製造者に帰属するのであれば、発注者が設計図やデザインを製造者に示して製造を委託する色彩が濃い場合、それは発注者から見て「外注加工」であってOEMとは異なる概念ではないでしょうか。

しかしその場合にも、発注者がその製品を自分では全く製造しないとすれば、それは発注者ではなく製造者にしか分からない技術があるでしょうし、製造者から技術の提案があって初めて発注者(商標権者)は、革新的なデザインを採用できることもあるとすれば、そのような発注者が他者に製造を委ねる選択をした時点で、その製品のオリジナル性は、発注者と製造者のどちらに主導性があるとも言い切れない要素が含まれてくると思います。

つまりOEMとは、発注者(商標権者)と製造者双方にとっての「オリジナル性」が生み出される関係であることが実際なのだと思います。

おわりに、「oem元」とは、製造者。「oem先」とは、発注者(商標権者)を表すように理解したいと思います。