1. 敷居が高い

敷居が高い

「敷居が高い」を考えるために、まず敷居の意味としては部屋や家の入口の底辺の横木。もしくは入口の枠の底側をいう。つまり敷居は数センチないしは数ミリの段差に過ぎない。その敷居が「高い」のは、後ろめたく申し訳ない思いがあるために、その家に行きにくい。あまりに近づき難くて数ミリの段差が1メートルにも感じられるという心情を表しているということらしい。つまりは、心理的な困難を物理的な困難に言い換えて表す話法の一例ということになる。

この「敷居が高い」の誤用として「髙島屋の二階の高級女性宝石店はあまりに高級過ぎて敷居が高い。」があるとされる。つまり高級過ぎると感じることは不義理や後ろめたさではないので、本来の意味から外れるとされる。しかし、心理的な困難を物理的な困難に言い換えて表す話法として捉えなおすと、恐れ多いと感じる心情を敷居の高さに表すのだから、型を生かして言葉を発展させる好例と見てもよいはず。「敷居が高すぎて跨ぐどころが手も届かないわ。」のように値段が高くて手が届かないという言葉を混ぜ合わせることもできる。こうした生きた話法は、ある程度野放しにしておく方がきっと楽しい。